2018年10月に法務省は「新たな外国人材の受け入れに関する在留資格(特定技能)の創設について」を発表いたしました。2018年11月現在の国会で閣議決定がなされ、2019年4月に新しい在留資格の運用がスタートする予定です。この記事では2019年1月現在発表されている情報を共有していきますが、下記リンク先でも必ず最新の情報を確認したうえで、意思決定するようご注意くださいませ。
法務省HP↓ 新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)
目次
<特定技能1号・2号の創設の背景>
この在留資格は、日本の中小・小規模事業者をはじめとした人手不足の深刻化に伴い、日本の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が生じているため、現在の専門的・技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性・技能を有する外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築することで、真に受け入れが必要とされる人手不足の分野に着目し、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れるための新たな在留資格を創設することが背景にあります。
<特定技能の受入れ対象国>
日本政府は2018年12月25日に、外国人労働者受け入れ拡大を目指す改正出入国管理法に基づき2019年4月にスタートされる新在留資格「特定技能」に関する基本方針や分野別の運用方針、外国人全般に対する総合的対応策を閣議などで決定しました。公的機関や生活インフラの多言語化など、急増する外国人を「生活者」として迎え入れる基盤の整備を国主導で進める予定となっております。
滞在期間が「最長5年」で「単身(配偶者および子の帯同は不可)」が条件の「特定技能1号」の対象は14業種で、人数の上限は5年間で「計約34万5000人」と確定。特定技能外国人材の日本での受入れは当面9カ国からとし、日常会話程度の水準を求める日本語試験等の要件が実施される予定です。
特定技能の受け入れ対象9ヵ国
- ベトナム
- フィリピン
- カンボジア
- 中国
- インドネシア
- タイ
- ミャンマー
- ネパール
- モンゴル
<特定技能の受入れ対象(特定産業)の14分野>
現在の日本の深刻な人手不足の状況では人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により日本の不足する人材の確保を図るべき産業上の分野が対象となります。
【特定技能1号の対象分野】
1 介護業
2 ビルクリーニング業
3 素形材産業
4 産業機械製造業
5 電気・電子情報関連産業
6 建設業
7 造船・舶用工業
8 自動車整備業
9 航空業
10 宿泊業
11 農業
12 漁業
13 飲食料品製造業
14 外食業
上記分野ごとに入管法に基づく分野別運用方針を策定することとするとされております。
【特定技能2号の対象分野】
特定技能2号では、「建設業」「造船・船用工業」「自動車整備業」「航空業」「宿泊業」が検討されております。なお、「介護」に関しましては、平成28年11月の入管法改正により新たに在留資格「介護」が創設されたため、特定技能2号の対象にはならない方針とされています。
<特定技能の受入れ対象者>
2019年1月現在、各特定産業14分野で下記の要件がなされております。
「技能水準」
受入れ分野で即戦力として活動するために必要な知識または経験を有することとし、業所管省庁が定める試験等によって確認する
1号特定技能外国人に対しては、相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められます。これは、相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいいます。当該、技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認する。試験と同水準と認められる資格等、試験以外の方法により当該技能水準を確認することができる場合には、その方法を分野別運用方針において規定することとされています。確認手法の適正な実施を確保するため、分野所管行政機関が具体的な機関、確認の方法等を定める場合には、法務省に協議した上で定めるものとされますのでご注意ください。
「日本語能力水準」
ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、受け入れ分野ごとに業務上必要な能力水準を考慮して定める
1号特定技能外国人に対しては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められ、試験等によって確認します。
上記「技術水準」及び「日本語能力水準」の試験は、本制度により受け入れる外国人の利便性の確保の観点から、分野所管行政機関(同機関が定める試験実施者を含む。)及び日本語試験実施機関において、原則として国外において実施されます。
「技能実習2号を修了した者」
第2号技能実習(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(平成28 年法務省・厚生労働省令第3号)第1条第2号に規定する「第2号技能実習」をいう。)を修了した者については、上記試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものとして取り扱われます。
「学歴要件」(2019.1現在)
在留資格「特定技能」では学歴要件、実務要件の必要はございません。そのため在留資格「技術・人文知識・国際業務」に求められる学歴・職務内容のリンク等は不要となり、法令の範囲内での単純労働が可能です。
特定技能の産業分野14分野別の要件
番号 | 産業分野 |
1 | 介護 |
2 | ビルクリーニング |
3 | 素形材産業 |
4 | 産業機械製造業 |
5 | 電気・電子情報関連産業 |
6 | 建設 |
7 | 造船・船用工業 |
8 | 自動車整備
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
9 | 航空
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
10 | 宿泊
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
11 | 農業
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
12 | 漁業
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
13 | 飲食料品製造
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
14 | 外食業
(方針はこちらを参照)、(運用要領はこちらを参照) |
<特定技能1号、2号とは?>
【1号】相当程度の知識または経験を有する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能1号」
【2号】同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格「特定技能2号」
<特定技能の在留期限>
【特定技能1号】在留期間の上限を通算5年とし、家族の帯同が基本的に認められません。
【特定技能2号】在留期限の上限はなく、他の在留資格同様、更新許可がなされれば在留が可能です。また、家族の帯同が可能です。
<特定技能の雇用形態、報酬額>
【雇用形態】
原則として直接雇用となります(分野の特性に応じて派遣形態も可能となります)
【報酬額】
特定技能で在留している外国人への報酬額は「日本人と同等額以上」にすることが義務付けられております。他の就労ビザと同様です。そのため、あまりにも不当な給与の支給しか行わない場合は更新許可がなされないこともございます。
<特定技能の外国人への支援>
特定技能外国人材の適正な在留管理、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善のため、法務省及び厚生労働省は、外国人の適正な在留管理、適正な労働条件の確保及び雇用管理の改善を図るため、以下のとおり、その所掌事務を的確に行うほか、必要な通報を相互に行う仕組みを構築し、効果的に運用するなど緊密な連携を図るとされております。
「特定技能1号」の外国人に対して、受け入れ機関(特定技能所属機関)または登録支援機関において、我が国での活動を安定的・円滑に行うことができるようにするための日常生活上、職務生活上または社会生活上の支援を行うこととされています。入国・在留審査において、外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を適切に行うための措置が講じられること等を確認するほか、在留中においても、外国人のみならず、特定技能所属機関(入管法第19 条の18 第1項に規定する「特定技能所属機関」をいう。以下同じ。)や登録支援機関(同法第19 条の27第1項に規定する「登録支援機関」をいう。以下同じ。)からの届出、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41 年法律第132 号)に基づく提供(同法第29 条)、事実の調査権限等を用いた実態把握等により、必要な情報を収集し、これを必要に応じて厚生労働省その他の関係行政機関と共有するとともに、問題があれば、これらの関係行政機関と連携して、適切に対応するとされております。
<特定技能所属機関(特定技能受入れ機関)>
受け入れ機関は、外国人との間で所要の基準に適合した契約を締結するとともに、当該契約の適正な履行等が確保されるための所要の基準を満たさなければなりません。
特定技能所属機関の責務
特定技能所属機関は、出入国管理関係法令・労働関係法令・社会保険関係法令等を遵守することはもとより、上記1の意義を理解し、本制度がその意義に沿って適正に運用されることを確保し、また、本制度により受け入れる外国人の安定的かつ円滑な在留活動を確保する責務がある。そこで、特定技能所属機関と外国人との間の雇用に関する契約(入管法第2条の5第1項に定める「特定技能雇用契約」をいう。以下同。)について、外国人の報酬額が日本人と同等額以上であることを含め所要の基準に適合していることや、特定技能所属機関について、当該基準に適合する特定技能雇用契約の適正な履行が確保されるものとして所要の基準に適合していることを求める。特定技能所属機関は、1号特定技能外国人の就労が合わせて5年を迎えること等による雇用に関する契約の終了時には、確実な帰国のための措置を行う必要がある。また、入管法第2条の5第6項及び第19 条の22 第1項の規定により、特定技能所属機関は、1号特定技能外国人が「特定技能」の在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援(以下「1号特定技能外国人支援」という。)を実施する義務がある。そのため、特定技能所属機関については、1号特定技能外国人支援計画(入管法第2条の5第6項に規定する「1号特定技能外国人支援計画」をいう。以下同じ。)を作成するほか、当該支援計画が所要の基準に適合していることや、当該基準に適合する1号特定技能外国人支援計画の適正な実施が確保されているものとして所要の基準に適合していることが求められている。
【基準3】
支援体制に関する基準(特定技能1号外国人材の場合に限る)
・支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること等
<特定技能の登録支援機関>
登録支援機関は、所要の基準を満たした上で、出入国在留管理庁官の登録を受けて支援を行うこととされております。
詳しくは下記のサイトをご参照ください
【登録支援機関申請】在留資格「特定技能」に関する登録支援機関になるための登録申請(要件・申請先・手続)方法を、静岡A.C.C.行政書士事務所が徹底解説します!
【基準1】
適格性に関する基準
・欠格事由に該当しないこと
【基準2】
支援体制に関する基準
・支援計画に基づき、適正な支援を行える能力・体制があること等
【まとめ】
いかがでしたでしょうか?
日本の深刻な人手不足を解決するための1つとして中小企業等には朗報といえます。
しかし、日本の文化を理解していない外国人が増えることで治安悪化等の懸念もございますが、国がどう対処し、解決策を整備するのか今後の施策に期待です。
2018/12現在
対応エリア
静岡県「中部」
静岡市(葵区・駿河区・清水区)・焼津市・藤枝市・島田市・榛原郡吉田町・牧之原市
静岡県「東部」
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【執筆者】
行政書士佐野哲郎
TEL:0544-66-8858(9時〜19時)
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