2019年にスタートした在留資格「特定技能」は、人手不足解消を目的として創設がなされました。少子高齢化により労働人口が減少する中で、東京オリンピック需要や、外国人観光客の増加といった需要が重なり(2020年3月現在では新型コロナウィルスにより外国人観光客は減少)、わが国の人手不足は深刻な状況が続いています。
これまで外国人は「就労ビザ(主に「技術・人文知識・国際業務」)を取得して日本に在留しておりましたが、就労制限(現場労働の禁止)があり、外国人材の活躍の場は限られていました。
このような状況を打開するため、外国人労働者が日本の現場で作業を行える在留資格「特定技能」が創出されました。
目次
受入れ機関の要件
※特定技能の資格で在留する外国人を雇用する事業者は「特定技能所属機関」と呼ばれます。
特定産業分野14業種に該当すること
特定技能は、人手不足が深刻な「特定産業」に関し、定められた「14業種」のみ受入れが可能です。
そのため、この「14業種」に該当していなければ、特定技能の外国人材を雇用することはできませんので注意が必要です。
法令を遵守していること
日本人の労働者に比べて転職等の自由度が低い外国人労働者を雇用するためには、人権侵害にも特に配慮しながら「コンプライアンス」を厳守する必要がございます。その一環として、「労働関係法令」「入管法令」「刑法」等の順守が特定技能所属機関には求められます。
その他、社会保険制度への適切な加入と保険料の支払い、・納税義務を果たしているかも重要となります。
外国人に対する支援体制
在留資格「特定技能」で受け入れる外国人は、必ずしも日本での生活に慣れているとは限りません。海外から直接呼び寄せることも考えられることから、日本での生活において不慣れであることが大いに予測できます。そこで、雇用する外国人の支援として、日本での生活環境を整えるサポートや、外国人材が理解できる言語での対応を受けることが求められます。
なお、これまで外国人材を受け入れたことのない企業は、上記の支援体制を整えることはできないため、「登録支援機関」に支援の委託をすることで、例外的に支援体制が整っていると認められ、在留資格「特定技能」で外国人材を受け入れることが可能です。
特定技能「外国人材」側の要件
在留資格「特定技能」で受け入れる外国人は「特定技能外国人材」と呼ばれ、ある一定の要件を満たしていなければ「特定技能外国人材」になることはできません。
なお、在留資格「特定技能」には「1号」と「2号」がありますが、こちらのページでは詳細な説明は割愛します。
一定以上の「日本語能力」「技能水準」
「特定」の「技能」を生かして日本に在留するための在留資格のため、職務に就くためには「即戦力」として技能を有し、現場作業では日本語でのある程度の意思疎通が必要となります。なぜなら、作業指示をはじめとした基本的な日本語が理解できなければ円滑に業務をこなすことはできないからです。
この一定の「技能」および「日本語能力」は、指定した試験に合格することで、それぞれ要件を満たすことが出来ます。
在留期間の上限内であること
在留資格「特定技能1号」は、在留期間の上限が通算で5年間となっております。そのため、今後特定技能外国人材として通算5年の経験がある外国人材は、「特定技能1号」の在留資格で日本に在留することはできません。
雇用契約の要件
特定技能所属機関(受入れ機関)と特定技能外国人材との間で締結する雇用契約は、使用者と外国人労働者が対等な立場で結ばなければなりませんが、これまで技能実習では賃金の不払いや、不当な低賃金での就労を強いられるといった被害者的な外国人材の方が見受けられました。
従事する業務内容
特定の技能を必要とする業務に就いてもらうために雇用するため、ある一定以上の職務でなければ認められません。現場労働が認められたからと言って、すべての単純労働が認められた訳ではないことに注意が必要です。
職務内容については、14分野ごとで細かい規定が定められておりますので、必ず確認されることをおススメ致します。
報酬等
特定技能外国人材は、技能試験や技能実習2号を無事修了しているものであり、既に即戦力となる一定の技術を持ち合わせていることから、その技能に応じた適正な報酬の支払いが求められます。
支援計画の要件
特定技能1号の外国人材については、日本での生活・職務に不慣れであると考えられることから、受入れ機関が適正に外国人材を支援を行っていく必要がございます(登録支援機関に支援を委託する場合を除く)。
そのため特定技能所属機関は、外国人材の受入れに当たって、支援計画を作成する必要があり、その定められた要件を満たしている必要がございます。
言語面等での支援
在留資格「特定技能」で現場に従事するためには、一定以上の日本語能力が必要となります。しかし、「給与」のように日本人と同等以上の言語能力を求めることは酷です。そのため「特定技能」では職務に必要な日本語能力「N4」以上を基準にしています。
「N4」は在留資格「特定技能」の取得の際の要件となりますが、現場で従事する職務内容によっては更なる日本語能力が必要となります。そのため、特定技能外国人材を受け入れる企業は「日本語学習の機会の提供」や、外国人材の「母国語対応での支援」が求められています。
生活面での支援
日本に「特定技能」で在留する外国人は、働くだけではなく日本で不自由なく生活ができるように支援することも大切な要件となります。生活の支援での具体例として、アパートの契約、銀行口座の開設、携帯電話の契約等を外国人材が一人で行うことは現実的に可能であるとは言えません。そのため、これらの場面での適切な支援が必要となります。
その他、地域社会に溶け込めるよう、日本人との交流を促す等も必要な支援の1つであります。
仕事面での支援
日本人でさえ、職場の人間関係等で悩むのですから、文化の違う生活をしてきた外国人材にとってはより悩むことが多いでしょう。
そのため、直属の上司等には相談しずらい問題が生じることを避けるため、他部署の支援担当者が定期的に面談等をするなどして、外国人材が働きやすい環境を整備してあげることも大切な支援内容となります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
在留資格「特定技能」について簡単に要件をご説明しましたが、イメージは沸いたでしょうか?
特定技能の外国人材を受入れることは容易ではありません。当社では「特定技能」の在留資格申請の他、お客様の企業ニーズに即した「外国人材のご紹介」「登録支援機関としての適性な支援」を行っておりますので、お困りの際には是非ご相談頂ければと思います。
上記説明した内容がこれから特定技能を検討されている企業様にとって有益な情報となれば幸いです。
【運営者情報】
行政書士佐野哲郎
略歴
2009年 行政書士事務所に補助者として勤務
2012年 行政書士合格後、静岡県富士宮市で開業。数多くの外国人ビザ(在留資格)申請に携わる
2017年 名古屋出入国在留管理局静岡出張所から徒歩30秒の立地に事務所移転
2018年 行政書士法人の役員に就任後、東京都港区に事務所移転
2020年 地元富士宮市の活性化に寄与すべくA.C.C.グループにJOINT
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